大手トラッカーDemonoid.comオーナーの個人情報、著作権団体に渡される

Demonoid これまでオランダのアンチ海賊行為団体BREINとLeasewebとの間の論争を数度にわたってお伝えしてたけれど、当初はLeasewebがホストしていたEverlasting.nuという小規模トラッカーサイトへの閉鎖・個人情報の提出の要求だったのが、ついには大手登録制トラッカーDemonoid.comに対する同様の要求をするまでに発展した。この議論において、ついにLeasewebはDemonoid,comのサービス停止を認め、そしてそのオーナーの個人情報をBREINに提出することを認めたよ、というお話。とはいえ、トラッカーサイトの法的責任がどう認められるかどうかは、依然として不明。

原典:Slyck.com
原題:Leaseweb Reveals Owner of Demonoid.com
著者:Thomas Mennecke
日付:July 11, 2007
URL:http://www.slyck.com/news.php?story=1533

Leasewebとオランダ著作権団体BREINとの激しい戦いにおいて、その勝者はBREINであったようだ。BREINは今日、LeasewebはDemonoid.comの登録情報から所有者の身元を明らかにすることに同意し、サイトを閉鎖させるための停止要求にサインしたことを明らかにした

Demonoid.comは、招待制の非常に人気のあるBitTorrentとラッカーである。サイトは「非開放的な」BitTorrentサイトであり、まれに外部からの登録を受け付ける程度である。それはThe Pirate Bayの自由参加の哲学とは対照的なものである。Alexaによれば、Demonoid,comはインターネットサイトの中で、403番目に人気のサイトである。

BREINによると、Leasewebは、Demonoid.comの所有者を明らかにすることを最後まで渋ったようだ。さらに、最も重大なこととして、LeasewebはDemonoid.comの所有者のバンキング情報も明らかにしたようだ。

「本日、ホスティングプロバイダーLeasewebは、違法なwebサイトDemonoid.comに関して、オランダ反海賊行為団体BREINの要求に応じました。BREINは、Demonid.comへのアクセスを不能にし、所有者の個人情報をBREINに提供させるため、Leasewebを法的手続きによって召還しました。心理は明日、アムステルダム地方裁判所で行われる予定でした。」

「Leasewebは、 Demonoid.comをオフラインにし続けなければ、1日50,000ユーロの罰金を受けると規定する停止義務に署名しました。さらに、LeasewebはBREINに、Demonoid.comの顧客情報として、氏名、住所、銀行情報を提供しました。これらの行動派、BREINの要請に応じたものとなります。これによって、審理は行われないことになります。」

面白いことに、Leasewebは彼らのほかのクライアント、つまりDemonoidではなく、Everlasting.nuの個人情報を保護するために戦った。同様の措置として、BREINは、Ecerlasting.nuの所有者の個人情報と、アクセスのブロックを要求した。Leasewebは、Everlasting.nuに対する停止命令には控訴しているものの、理由は不明だが、Demonoid.comにはそうしないようだ。

Demonoid.comは先週、このような状況に備えて、ドメインをオランダからカナダのwebホストへと移転しており、それによって閉鎖の脅威から免れたとしているが、そのことがこれと関係していそうである。Leasewebにコメントを求めたものの、現時点で返答はなかった。

現在、BREINの管轄外にあるDemonoid.comの管理者は、このようなLeasewebの譲歩についてあまり知らないようだ。彼らがSlyck.comに語ったところによると、「私たちはこの問題について、あなた方と同じ程度のことしか知りません。なので、私たちが報道されている以上のことを付け加えるということもできないのです。」

LeasewebはDemonoidを閉鎖するための停止要求にサインしたが、Demonoid.comのwebホストが現在カナダにある以上、BREINの勝利の一部はそれほど影響しないだろう。しかし、Demonoid.comの個人情報と銀行情報が暴露されたことは、より有害なものとなるかもしれない。

ここでもいわれている通り、先日の一時停止の間に、Demonoid.comはカナダへの移転を済ませており、Leasewebにはそれをどうすることもできなかったりもする。また、BREINの攻勢は、これまでのオランダを拠点としていた時点までの活動に対するものとなる。カナダで運営されてるDemonoid.comを停止させるための術は存在しないのかもしれない。

とはいえ、オランダ国内での活動に対する責任を問うことは可能であり、それによってはカナダでの運営を結果的にとめることに成功するかもしれないという部分はある。

にしても、Leasewebは契約を取りやめたであろうDemonoid.comを売ったともとれる行為をしているわけで、その辺はサービス利用者からは余りいいようには思われないだろうなぁ。もちろん、これからサービスを利用しようとしている人にもね。もちろん、法的な裏づけがあってこのような提出がなされたのであれば、まぁわからないのでもないのだけれども、そのような判断の背景に、自社サービスを利用し続けているか、停止したかという基準を設けている、ということが見え見えなわけで、たとえ合法的な利用をするクライアントであったとしても、そんなに気分のいいものではないけどなぁ。

相手の要求を呑むならの呑むでEverlasting.nuとDemonoid.comとを区別せずに、一貫した対応を取るべきだっただろうなぁと思ってみたり。

にしても、ISPに対する間接的な責任追及はとどまることを知らない。ISPはインターネットの門番であるという既成事実を作りたいのだろうか。まぁ、裁判所の決定ならば従わざるを得ないのだろうけれど、その辺は戦うべきかと。さもなくば、ずるずる何かにつけて要求の水準を高められることになるだろうからね。問題は、もしそれでトラブルが発生したとしても、責任を科せられるのは、そのような判断をしたISPということになるのだから。

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