WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
最近、アクセス解析を見ていると急に「BitThief 」で検索してくる人が増えて驚いている。以前のエントリで扱った話題であるけれども、個人的には、結局使っている人っているのかな?くらいに今更感があるのだけれども、やけに検索してくる人が多い。とりあえず、使い方わからなかったのかな?と勝手に解釈して、ちょっとした乱暴なレビューをば。
とりあえず、環境としてはLinuxかWindowsで動作する。Macでは動かないかと。おそらくLinuxを使っている人なら、コマンドラインでちゃっちゃか走らせていると思うので、ここではWindowsでの使い方のみ。
あとは、最新版のJavaがインストールされていること。これがなければ走らない。なんだそれ?って人は、よく調べて納得したうえでこちらから、Java Runtime Environmentをダウンロードしてインストールしてくださいな。別に害のあるものではないけれど、適当にインストールすると思わぬ弊害があるかもしれないので、自己責任で。java -Xmx256m -jar BitThief.jar
と入力。そうすれば以下のウィンドウが開く。
torrentファイルを読み込ませるには、メニューバーの「File」をクリックして、「New Download」を選択。すると以下のウィンドウが開く。
「Torrent Metafile」の欄にはローカルに保存したtorrentファイルを指定、「Destination Directory」には保存先のパスを指定、「Sharing
Ratio」の欄は良くわからないけれど、おそらく偽装するShare Ratioをいくつにするか、ということかと。「Listening Port」の欄には使用ポートを手動で入れる。そして、「Start
Download」をクリック。
すると上記のようにダウンロードが始まる。ダウンロード中のファイルの詳細は、「Detail」のボタンを押すと、新しいウィンドウに表示されている。タブが複数あってそれぞれの情報を見ることができる。まぁ、一般的なBitTorrentクライアントに比べると、情報が違うのが仕様の違いを反映しているかと。
あとの詳細は省略。もともとこのクライアントを好意的に見ているわけではないしね。ただ、私個人の考えとして、このクライアントは速度を向上させるため、とかリソースを無駄にしないため、という理由以上に、著作権団体の監視を逃れるために利用しようとしているのではないか、と思っている。なので、もしこれが広まったとしても、違法ファイル共有の衰退に繋がるのではないか、と考えたので紹介してみた。
で、実際に試してみて感じたのは、大して速くもなければ、匿名性もないということ。もちろん規制されているせいもあるけれど、個人的にはこの仕様で速くなるとは思いがたい。以前のエントリでも紹介したけれど、複数回のテストを行った結果、既存のクライアントと比べて速いこともあれば、遅いこともある、という曖昧な結果しか得られてはいない。アップロード帯域は確保できるんだろうけれどもね。ただ、仕様が無茶苦茶なので節約したリソースを他に配分できるかは不明だ。
まぁ、BitThiefを使おうと考えている人はそんなことよりも、安全にダウンロードがしたい、ということなんだろうけれども、それも個人的には保証できないんじゃないかなと思う。
その理由の1つには、BitThiefの開発者が、ユーザのIPアドレスとユーザのダウンロードしているファイル、その他の情報を、ユーザに無断で収集していること。著作権団体にではないにせよ、違法ファイル共有ユーザにとっては、集められたくない情報が彼らの手に渡っている。
もう1つには、RIAAやMPAAの用いているようなフェイクファイル戦略に引っかかったとしたら、アップロードしていようとしていまいと関係なく追跡されることになる、ということ。つまり、警告状が送られてくるのだ。まぁ、それが裁判にまで持っていかれるかどうかは依然不明だけれども、少なくとも他のクライアントを利用しているユーザと同様に扱われるだろう。
最後にこのクライアントを利用してアップロードを回避したとしても、そのことが役立つのはおそらく法廷だということ。それ以前ではなんら役に立たないだろう。個人的な推測になるけれども、今後はヘビーユーザをターゲットにした訴訟を行うとかいうよりも、ISPを利用した圧力をかける方向にシフトしていくと思われる。その中でヘビーユーザをターゲットに訴訟を行うことになるのだろうけれど、そうなれば必然的にアップロードしていたかいなかったかなどはお構いなしに、ログに記録されたかどうかだけが問題になる。
つまり、アップロード云々は関係なく、ログに残った人に警告状を無差別に送付していくということ。そこでISPに対して、私は著作権を侵害する可能性のあるファイルをダウンロードしようとしたが、アップロードは行っていないので、なんら問題はないはずだ、と断固主張することができる人がどれくらいいるだろうか。
また、RIAAやMPAAの戦術を見ていると、より多くの人に恐怖を与えようとしている部分もある。そうなれば、ヘビーユーザだけがターゲットになるというわけではない。
そもそも裁判沙汰になることを避けたいのであれば、違法ファイル共有を止めるべきだろう。私はそれをお勧めする。強いて言えば、こんなクライアントを用いるよりは、匿名性を高めるVPNなどを利用した方がよっぽどマシだろう。まぁ、そっちのほうもログを残している可能性がある以上、確実ともいえないけど。
個人的には、このクライアントを著作権団体からの監視を逃れるために利用しようとしている人たちには、以下のエントリを参照してもらいたい。
関連エントリ
BitThief:アップロード回避するBitTorrentクライアント
BitThief、ユーザをスパイ:同意なくユーザデータを収集
MPAAによるFake
Torrent放流用トラッカーを特定
FakeFinder:Fake
Torrentとそのホストトラッカーのリスト
フェイクファイルによるIP収集は違法行為の証明にはならない
フェイクファイルによるIP収集は違法行為の証明にはならない
その2
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