WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
以下の文章は、TorrentFreakの「'Conan The Barbarian' Chases 2,165 BitTorrent Downloaders in Court」という記事を翻訳したものである。
原典:TorrentFreak
原題:'Conan The Barbarian' Chases 2,165 BitTorrent Downloaders in Court
著者:Ernesto
日付:February 27, 2012
ライセンス:CC BY
先週金曜、メリーランド地区合衆国連邦地方裁判所において、『コナン・ザ・グレート』をダウンロードしたとみられる2,165人のユーザに対する大規模訴訟が提起された。映画スタジオNu Imageは、この訴訟を通じて、数百万ドルの和解金の獲得を目論んでいる。この訴訟の詳細を見るに、弁護士たちは過去の失敗から学んでおり、著作権侵害で訴えられた人々のリスクは増しているようだ。
著作権者の同意を得ずに映画を共有したとして、この2年の間に数十万のBitTorrentユーザが米国法廷に引きずり込まれている。
著作権者たちの狙いは、決して裁判で争うことにあるわけではなく、訴訟を取り下げる条件として違法ダウンロードを疑われたユーザに相当の和解金を支払わせることにある。一部ではほとんど強要に近い手口となっているが、著作権者たちは、単に自分たちの作品を守っているだけだという。
最初にこうした手口のうまみに気づいた映画スタジオの1つがNu Imageであった。昨年、彼らは『エクスペンダブルズ』をダウンロードしたとみられる23,322名を相手取り、史上最大規模のP2P訴訟を起こしたことでも知られている。
この訴訟は、その数カ月後に棄却されることになったのだが、それしきのことでBitTorrentユーザを放っておくNu Imageではなかった。
先週後半、Nu Imageはメリーランド地区連邦地裁にて、別の有名映画について新たな大規模BitTorrent訴訟を起こした。訴訟の標的とされたのは、映画『コナン・ザ・グレート(Conan The Barbarian)』を共有したとみられる2,165名で、同映画はこの数カ月間で数百万のBitTorrentユーザにダウンロードされていた。
被告らは、映画をダウンロードする際にIPアドレスを抜かれており、2011年12月1日から今年2月1日の間に『網にかかった』ようだ。「氏名不詳の被告」の全リストは本稿の末尾に。
映画作品を変えた以外の部分では、文書を見るかぎり、これまでUS Copyright Group (USCG)が起こしてきた裁判とそれほど変わりはない。しかし、細部を精査してみると、弁護士が以前の訴訟で犯した『間違い』から学んでいることが伺える。
特に重要な変化としては、すべての被告が適当な地域(この裁判においてはメリーランド)に在住しているようだ、という点である。以前の訴訟では、裁判官は管轄外の地域に住んでいるとして、数万の被告を放免した。これはNu Imageの『エクスペンダブルズ』訴訟が、早々に終結した理由でもあった。
その訴訟の裁判官はNu Imageに対し、ダウンローダーを訴えるのであれば、IP位置データベースを使用するよう忠告していたのだが、今回の訴訟ではそれに従ったとみえる。
さらにNu Imageは、ComcastやSprintのように、以前協力的だったインターネット・プロバイダに割り当てられたIPアドレスだけを抽出している。類似した訴訟において、IPアドレスの大量照会に対しうまく立ち回ったTime WarnerのIPアドレスは全く含まれていない。
このような手を打つことで、Nu Imageはこの戦略を成功させる可能性を高めているが、一方のBitTorrentユーザも手をこまねいているわけではない。
大規模訴訟や、来るべき著作権警戒システムに備え、多くのBitTorrentユーザがプロキシやVPNサービスを利用し、自らのIPアドレスを隠そうとしている。しかしそれでも、このスキームはNu Imageのような映画スタジオに十分な利益をもたらし続けるだろう。たとえ被告の半分でも和解に応じれば、和解金の総額は数百万ドルに上る。
そして、イタチごっこは続く。
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