コンテンツ売るより儲かる大規模BitTorrent訴訟、弁護士が無資格の疑いで裁判が停止

以下の文章は、TorrentFreakの「Mass-BitTorrent Lawsuits Stopped Over Unlicensed Attorney」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Mass-BitTorrent Lawsuits Stopped Over Unlicensed Attorney
著者:Ernesto
日付:February 23, 2012
ライセンス:CC BY

映画をダウンロードしたとして訴えられていた数千人のユーザたちは、ほっと胸をなで下ろせるかもしれない。少なくとも今のところは。 大規模BitTorrent訴訟において、著作権者側の弁護士が無資格であるとの疑いがあり、フロリダ法廷は27の訴訟を停止した。これらの訴訟は棄却される可能性があり、その場合、原告は被告のファイル共有ユーザに和解を求めることはできない。

米国で現在進行中の大規模BitTorrent訴訟は、米国の司法制度を忙しくし続ける。この2年間で25万人以上が提訴され、毎週のように新たな訴訟が起こされている。

これらの大規模な訴訟を通して、著作権者はBitTorrentで著作権侵害ファイルを共有したとみられるユーザの個人情報を取得しようとしている。権利者側が個人情報を掴もうものなら、彼らは被告に対し、数百ドルから2,000ドル程度の金額での和解の要求する。

アカデミー賞受賞映画「ハート・ロッカー」のメーカーや出版社John Wiley and Sonsが、このスキームを用いる著作権者としてよく知られているが、訴訟の多くは、アダルト・エンターテイメント企業によって起こされている。これらの企業の多くは、コンテンツを売るよりも訴訟によってより多くの利益を上げることができ、しばしば著作権トロールと呼ばれている。

Transnational Law Groupのタリク・ハシミは、フロリダ州のアダルト企業のを代表して多数の訴訟を起こしている弁護士である。しかし、これらの訴訟はヒンクル地裁判事によって停止され、すぐにでも棄却される可能性がある。ハシミはフロリダ連邦裁判所で弁護士活動を行なっているが、3人の被告からの申立によれば、適当なライセンスを持っていないのだという。

ヒンクル判事は「原告弁護士テリク・ハシムがフロリダでの弁護士資格を有していないという申し立てに基づき、これらのケースが棄却されるべきか否かの判断が下るまで-または適切な処置が取られるまで-、パスしていないすべての手続きおよびすべてのデッドラインをペンディングする。」と書いている。

弁護士はこの申し立てに反論する機会が与えられるが、今のところ、彼が抱えている27の大規模BitTorrent訴訟において訴えられている数千人の被告に和解を要求することはできない。

「この問題が、法廷の更なる命令により解決されるまで、ハシム氏はこれらの訴訟について和解を試みてはならず、和解金を受け取ってはならず、何らかのアクションを起こしてはならない。」と判事は書く。

ハシムへの調査が本当に彼に弁護士資格が無いと結論づけるならば、すべての訴訟は棄却されることにあるだろう。これら特定の訴訟で訴えられている数千のユーザにとっては朗報となるだろう。しかし、未だに増え続ける大規模BitTorrent訴訟を止めるような効果があるわけではない。

このスキームが弁護士と権利者に大いに利益をもたらす限り、訴訟は続く。

これ自体は大規模BitTorrent訴訟に何かしらの影響をあたえるものではないのだけれど、ある種のバブルになってるのかなぁと。

権利者から訴えられた違法ダウンローダーの弁護を引き受けます!と宣伝していた弁護士が、一夜のうちに、権利者の皆さん、違法ダウンローダーを訴えましょう!と鞍替えするという、冗談のようなホントの話もあるくらい。実際の裁判になってもある程度の額がとれる当てがあるからなんだろうけれども。法定損害賠償制度があることが、こうした事態を招いているのかなと思えるところもある。

裁判恐いでしょう?エロ動画落として裁判とかかっこ悪いでしょう?裁判ではこちらが有利ですよ、嫌なら和解しましょう、と。そのために大量に訴えて、大量のユーザにそこそこの和解金を要求して、大金をせしめる、という算段。

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