WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
TorrentFreakが独自のルート(トラッカーサイトの管理人)から、フェイクtorrentを流しているトラッカーを突き止めたよというお話。単純に、違法ファイル共有のみを対象にした検索結果のFloodが目的であれば多少の理解もできるのだけれど(ネットワークへの負荷が増大するという批判もあるけど)、フェイクファイルをダウンロードしている人をトレースすることが目的となると、いささか納得のいかない感じもする。フェイクファイルなら、違法ファイル共有になりえず、単にBitTorrentプロトコルを利用しているだけ、なのだから。
原典:TorrentFreak
原題:MPAA Caught Uploading Fake Torrents
著者:Ernesto
日付:January 11, 2007
MPAAやその他の反海賊行為団体が、フェイクtorrentをアップロードすることして海賊ユーザを突き止めるという手法をとっていることは、すでに周知のことである。しかし現在に至るまで、それらのファイルがどこから来るのか、どうやって特定しているのかについての詳細は明らかにはなっていなかった。MPAAやその他の反海賊番犬たちは、人々にフェイクtorrentをダウンロードさせて罠にかけ、それによってIPアドレスを収集し、著作権侵害メールをISPに送付する。彼らは企業を雇い、人気の映画、音楽アルバム、TVシリーズのフェイクコピーをばら撒く。彼らは、海賊たちが使うようなファイルネームを仕込む、たとえば“Battlestar Galactica S03E07 REPACK DSR XviD-ORENJi” や “Miami Vice[2006]DvDrip[Eng]-aXXo“. といったように。
btjunkieの運営の1人が、そのようなフェイクファイルをホストをしているトラッカーを特定する方法を見つけた。それは、効果的にこれらを締め出すのを容易にするものである。
これらのフェイクファイルを広げているほとんどすべてのサーバーは、南カリフォルニアとラスベガスにある。これらのサーバーの管理者は、一定のパターンを示すので特定するのは、容易である。トラッカーのコンテンツとSeed量が非常に目立っているのだ。もっとユニークな特徴があるのだけれど、彼らが対策を取ることも考えられるので、すべてのトリックを明らかにすることはできない。
ここに、フェイクtorrentをホストし、(ユーザを)追跡するサーバの一例を載せる。
Tracker 1, Tracker 2, Tracker 3, Tracker 4
この情報のすべては、btjunkieの管理人の1人が私(TorrentFreakの筆者)に提供してくれたものだ。彼はそこ以外にも他のTorrentサイトの管理もしている。彼は、MPAAとその友達は、さまざまな戦略をとっているという。そのトラッカーからダウンロードしても90%程度で失速してとまるか、ダウンロードしきったとしても単なる真っ白なモノクロスクリーンのファイルである。
「私は、これが雇われたプロフェッショナルによって行われていると思うんだ。多くのサーバーのセットアップや、彼らのやったようなセットアップには一定の専門的知識も必要になる。まぁ、こんなことに誰がお金を出しているか、なんてのはわざわざ言うまでもないけどね。」とbtjunkieの管理人はいう。
ここに、これらのフェイクファイルが検索結果を阻害する非常によい例がある。「X」マークのつけられたほとんどのtorrentが、私たちが先ほど述べたIPレンジから来ているフェイクファイルである。それでも救いとしては、Torrenrtportalのレポートシステムが、ユーザによってきちんと使われているということだろうか。
それらのtorrentを詰め込んだサーバはいくつかのIPレンジにまとめられる。しかし、これらは未だにPeerGuardiganのようなBlockListソフトウェアによってブロックされてはいない。最近発見された2,3のレンジをここにあげる。あなたは、このBlockListを簡単にTorrentクライアント(もしサポートしていれば)、FireWall、BlockListマネージャに加えることができる。
66.172.60.XXX, 66.177.58.XXX, 66.180.205.XXX, 209.204.61.XXX, 216.151.155.XXX
反海賊サーバのホストネームは、101tracker.dhcp.biz, aplustorrents.qhigh.com, bitnova.squirly.info, bittorment.ocry.com, and pirate-trakkrz.leet.laである。これらのホストネームは上記のIPレンジにトレースバックされる。これらのレンジは数百のフェイクトラッカーを含んでいるので、気兼ねなくブロックして欲しい。
フェイクtorrentのinfohashリストはこちらにある。
気をつけて欲しいのは、これらのフェイクトラッカーがホストしているtorrentファイルはMPAAのものだけではない、ということだ。複数の著作権オーナーや反海賊行為団体のために、ある団体によってサーバーは所有、運営され、ユーザのIPアドレスが記録されているということも考えられる。
diggとか、このコメント欄の流れを見ると、どうやらMedia Defenderという企業が著作権オーナーに雇われて、フェイクtorrentを流しているようだ。この企業はもともとこういう会社で、それなりに報道もされているので、そこまで驚くべきことではないけれどね。日本でも、ITMediaの記事で少し触れられている。
フェイクファイルをばら撒いて、検索結果をFloodさせて目当てのファイルをダウンロードさせないという奴。で、この記事では、単なるフェイクファイルではなくプロモーション用のファイルを流してもいいよ、という色目を使っているという記事。まぁ毒を食らわば皿まで、って感じですか。
余談ではあるけれど、昔、日本でもウンザリソリューションとかいうサービスがあったんだけど、アレってどうなったのかな?
それはいいとして、要はMPAAその他の業界団体から委託された企業が、ファイル共有ネットワークからユーザのIPアドレスをゲットして、それをISPに通告して、ISPがユーザに警告文を送信すると。あれ?どっかで聞いた話だなと思った人はビンゴです。まぁ、日本もこれをパクったといったところでしょうか。MPAAたちもこのやり方の特許なんかはとっていないんでしょうか、権利大好きなんだから、特許とっておけば一儲けできたかもしれないのにね。
で、更に問題になるのは、これを利用して和解を迫るんじゃないか、ということ。厳密に言えば、フェイクファイルなんだから、それだけに限定すれば著作権侵害には当たらない。でも、大企業の彼らはそんなことお構いになしに、圧倒的な財力と強力な弁護士を利用して、更に相手が法的に脆弱な一般人ということに漬け込んで、苛烈な攻撃を仕掛けてくる。その辺に関しては「RIAAは「恐怖支配」を行っている ─ 弁護士が語る 」という記事を参照してくださいませ。
というように、訴訟大国アメリカ万歳ってな具合に、全く持って見当違いにもかかわらず、訴訟で勝てばよいといわんばかりの強引なやり方をしていることを考えると、こういう記事も積極的に紹介しようと思うわけですよ。
*追記*
裁判で勝てばよいというよりは、裁判を起こさせずに、裁判に負けた後の脅威をちらつかせて和解を迫るって感じですな。これまでの経緯を考えると。Kazaa訴訟では1万人にも上る人が告訴されたけれど、法廷で戦っている人はごくわずかだったりする。
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