ドイツ海賊党、ベルリン市議会選で15議席を獲得

以下の文章は、TorrentFreakの「Pirate Party Enters Berlin Parliament After Historic Election Win」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:Pirate Party Enters Berlin Parliament After Historic Election Win
著者:Ernesto
日付:September 18, 2011
ライセンス: CC BY

海賊党が、史上初となる州議会の議席を獲得した。ドイツ海賊党は、総得票の約9%を占め、ベルリン市議会(州議会に相当)の議席獲得に必要な5%の壁をクリアした。国際的な海賊党ムーブメントにとって、これは2009年の欧州議会選挙での議席獲得に続く、第2の成功と言えよう。

本日、ドイツ海賊党は、ベルリン市議会選挙にて大勝利を収めた。投票所が閉められた2時間後、最初の開票結果が公表され、海賊党が9%の得票率であったことが判明した。議席にすると15議席を獲得したことになる。

ドイツ海賊党は2006年9月に設立され、その比較的短い歴史の中で、幾つかの成功の兆しを見せていた。既に、同党はドイツ各地に選出公職につく50名以上の党員がおり、これは世界に展開する他の国の海賊党のそれを足してなお上回っている。しかし、本日の選挙は、それ以上の快挙であった。

これまで、海賊党は州議会選挙、連邦議会選挙での当選はなかった。ドイツの選挙制度では、5%以上の得票率でなければ議席を獲得できないのだが、それゆえに、ベルリン市議会選挙の結果は、より一層印象的である。

この結果は、ドイツ海賊党が若い有権者から最も多くの支持を受けたことを示している。30歳未満の若者の15%が海賊党に投票し、さらに60歳以上の有権者でも4%が海賊党に投票している

フリードリッヒスハイン-クロイツベルク地区の開票結果が最初に公表されたが、そこでの海賊党の得票率は14.7%であった。開票率99.9%の時点で海賊党の得票率は8.9%であった。

得票率8.9%(開票率99.9%)

TorrentFreakはドイツ海賊党代表のセバスチャン・ネルツに、この成功が同党にとって何を意味するかを尋ねた。彼は、収入を得て、影響力を増したことにより、海賊党が目標を達成する可能性が高まるだろうと話す。

「今のところ、ドイツ海賊党は誰一人雇ってはいません。」とネルツは言う。「私も含めて、海賊党のために働くすべての人が、無給で働いているのです。一方、議会議員になれば、仕事に対して給与が支払われます。さらに、秘書や協力者への給与も公費で支払われます。これにより、海賊党員が海賊党のためにフルタイムで働くことができ、より多くの要員を確保することができます。」

「もう1つ重要な点としては、市民やメディアが、議会により詳細にアクセスするためのルートを得たということです。これまで何度となく、『あなた方の党は議席を持っていないのだから、関係ない』と言われてきました。今週末の大躍進によって、こうした党の立場は大幅に改善されるでしょう。」

海賊党はさらに、今回の選挙結果が党員や協力者の増加につながると期待している。同党の理念としては、可能な限りの透明性、市民のプライバシーの確保、特許の廃止、著作権を濫用する団体の影響力の制限を掲げている。

「私たちは、政治に対する透明性の高いアプローチが有効であることを実証したいと考えています。伝統的に、政治は秘密主義で『不可侵』な領域となっています。会議は密室で行われ、政策も協定も開かれてはいないし、条約も公表されません。」とネルツはTorrentFreakに話した。

「市民に対してオープンに、正直に、今何が起こっているのか、どのような選択肢が可能であるか、なぜ特定の選択肢が選ばれたのかを伝えていくことが可能であると証明します。市民が事実調査や政策決定と融和できることを証明します。なぜ決断が下される前に、市民の意見を求めないのか?私たちは十分に価値あることだと考えます。」

1つ確かなことは、ドイツ海賊党は本日、センセーショナルな勝利を収めたということだ。その結果、ベルリン市議会は間違いなく、最もテクノロジー・フレンドリーで、プライバシーへの配慮を求める政党に注意を払わなければならなくなる。ネルツによれば、海賊党の立候補者たちは、議会参加への準備も熱意も十分であるという。

「つまり、私たちは政治が改革できることを証明するのです。」とネルツは言う。

現在、スウェーデン海賊党の設立者リック・ファルクヴィンエと共に、数百名の海賊党狂たちが、選挙での勝利を祝っているようだ。昨日、選挙での大勝利を予言したリックは、宴の写真を我々に共有してくれた。

Party like it's no longer 1984

リック・ファルクヴィンエはこのようにブログに記している。「ベルリンの海賊たちは、今夜の出来事を起こすために尽力してくれた皆さんに感謝している。私たちはみな、肩を並べて次の世代のために戦っている。1つの成功は、私たち全員の成功だ。明日、人々はあなたの成功に目を向ける、そして、このムーブメントはますます大きくなる。あなたは、次世代の市民的自由活動にとって、インスピレーションの源なのだ。」

30歳未満で15%、30-44歳で12%、45-59歳で9%、60歳以上で4%って、すごいね。ネットに関わる問題が、市民にとって広く浸透しつつある中、その問題を主要な争点として掲げる政党がほとんどない中で支持を集めたとか、的を絞った過激な主張とわかりやすい綺麗事が他の政党に辟易している層にウケたとか、この結果を解釈するための理由はいろいろありそうなのだけれども、その辺りの分析も読んでみたいところ。

個人的には、海賊党の躍進は大歓迎。プライバシーの保護やオープンな政治については、全面的に賛同している。知財権に関わる理念については完全に支持しているわけではないが、特定争点政党が大多数を占めることも考えにくいので、バランサーとしての役割を期待している。まぁ、ある程度実現してもらってもいいんじゃないかとは思うけど。

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