RIAAとMPAA、米政府によるドメインコントロールに向けたロビイ活動に3ヶ月で180万ドル

以下の文章は、TorrentFreakの「MPAA/RIAA Lobbied Extensively In Favor of Domain Seizures」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:MPAA/RIAA Lobbied Extensively In Favor of Domain Seizures
著者:Ernesto
日付:December 19, 2010
ライセンス:CC by-sa

先日の所謂「ならず者ウェブサイト」への米当局による取り締まりは、2つのよく知られたアンチパイラシー団体のロビイ活動の直後に行われたものであった。今年第3四半期、MPAAとRIAAは、ワシントンでのロビイ活動に計180万ドル(約1億5千万円)を費やした。公開記録は、産業団体がドメイン名の押収に関連したCOICA法案ならびに関連当局に重点を置いていることを伺わせる。

ここ数ヶ月、ドメイン押収の話題はたびたびニュースで報道され、広く話題となった。米当局は数十の『著作権侵害』ドメインを取り締まり、さらに今後そうした取り締まりをさらに容易に行えるよう『オンラインにおける権利侵害および偽造防止法(Combating Online Infringements and Counterfeits Act)』(COICA)が提案されている。

MPAAとRIAAは、最近のドメイン名押収やこのCOICA法案に対し、賛辞の声を上げていた。しかし、RIAAとMPAAの役割は、政府の措置に受動的に拍手喝采していただけではなかった。それどこか、この2つの団体は、ドメイン名に対する政府のコントロールをさらに強化するようロビイ活動を行っていた。

公開書類を見ると、これら団体が2010年第3四半期に、COICA法案および先日のドメイン押収を行った当局を直接対象としたロビイ活動のために、180万ドル超の金額を投じていることがわかる。現時点で既に多額の金が費やされていたのだ。

下院事務局が公開しているRIAAの書類を見ると、音楽産業のロビイ団体が合計129万ドルを投じていることがわかる。このお金は、COICA法案やACTAなどさまざまな対象に投じられた。RIAAはCEOのミッチ・ベインウォルをはじめ、全部で9名の著作権/商標権ロビイストをリストしている。

一方MPAAは、第3四半期のロビイ活動に52万ドルを費やした。そのお金の一部は、先日のドメイン押収に関わった国家安全保障省と移民関税局へのロビイ活動に投じられた。

さらに、MPAAは、『段階的レスポンス』などのスリーストライク・アンチパイラシー・イニシアチブや、COICAのような『ならず者サイト』におけるデジタル・パイラシーをターゲットにした法案に関して、ロビイ活動を行っていた。MPAAは、以前にジョー・バイデン上院議員のブレインだったマイケル・オリリーら3名のロビイストをリストしている。

実際、現副大統領のジョー・バイデンは今年初めデジタル・パイラシーに対し宣戦布告した人物である。「パイラシーは窃盗である、これは明白かつ単純なことだ。」と彼は述べている。

MPAAやRIAAが毎年数百万ドルもの額をワシントンに注ぎ込んでいることはよく知られているが、そのお金の行き先を調べる価値はありそうだ。公開記録から、米国政府の商業的検閲の措置が、エンターテイメント産業のロビイ活動を反映していることがわかる。

しかし、それは影響の一端に過ぎない。議員や当局に働きかける以外にも、両団体は法執行においても役割を演じている。先週金曜に報じた様に、MPAAはTorrent-Finder等のサイトの押収命令の申請に関して、国土安全保障省に協力している。

もちろん、こうしたロビイ活動が米国政府による規制強化に実際に影響を及ぼすかどうかについては測りようがない。しかし、MPAAやRIAAがロビイ活動に当時多額を考えると、そうなったとしても何ら不思議なことではない。

ジョー・バイデン副大統領の宣戦布告については、翻訳はしていたものの公開するタイミングを逃していたので、ここでご紹介。2010年6月22日の記事。

以下の文章は、TorrentFreakの「‘Piracy Is Theft, Clean and Simple’ US Vice President Says」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:‘Piracy Is Theft, Clean and Simple’ US Vice President Says
著者:Ernesto
日付:June 22, 2010
ライセンス:CC by-sa

本日、ジョー・バイデン副大統領は、知的財産権侵害と戦うための共同戦略プランを公表した。バイデンはスピーチの中で、国内外の『海賊』ウェブサイトに宣戦布告し、パイラシーは窃盗であり、国家安全保障に対する潜在的脅威であると主張している。

米国政府は、向こう数年の著作権侵害にいかに対処するかについて決意を新たにした。市民やさまざまな領域の専門家からの意見を聞き、オバマ政権初となる知財権侵害対策のための共同戦略プランを発表した

「パイラシーは私たちの経済を害する。」とジョー・バイデン副大統領は本日のスピーチの冒頭で語った。スピーチは厳しい口調で進んでいった。この新たなプランによると、パイラシーは米国経済の大きな脅威であり、ビジネスの破綻を避けるために世界的な取り締まりが必要とされているのだという。

興味深いことに、バイデンの声明は、今年初め、米政府監査院が米国議会に説明した内容とは対照的なものであった。政府監査院は、エンターテイメント産業が数百万ドルの損失を被っていると主張しているが、実際には全く根拠がない、と結論づけていた。

「データの不足は、模造やパイラシーの影響の査定を妨げる」というのが、このレポートの主要な結論の1つに盛り込まれている。実際、著作権侵害はエンターテイメント産業や第三者に利益をもたらす可能性すらある。政府監査院は、パイラシーが実際には米経済の利益をもたらしているのかもしれないとまで述べている。

それでもバイデンは、米国が「模範を示し」、著作物のダウンロード、共有を可能にするウェブサイトを取り締まるのだという。さらに、米国は他国政府にも同様の措置を講じるよう『推奨(push)』するという。この『推奨』が、以前米国がスウェーデンに対しThe Pirate Bayを取り締まるよう求めたものと同様の脅威を含意しているかどうかは不明だが。

その上、副大統領は、RIAAやMPAAなどの著作権ロビイストがよく口にするようなことを繰り返し主張した。「パイラシーは窃盗である、これは明白かつ単純なことだ。破壊や略奪の類である。」とバイデンは言い、無許可のダウンロードを宝石店の襲撃になぞらえた。何を言ってるのかわからねーと思うが、おれも何を言ってるのかわからない。「窃盗」は何かがコピーされずに持ち去られることを意味しているのだから。

米国は、デジタルコピー以外にも、模造品に対する取り締まりを強化しようともしている。バイデンによると、これらは市民の健康や国家安全保障の脅威でもあるらしい。彼は偽のケブラーのベストを着た兵士が登場するドラマについて言及している。

デジタル方面に話を戻すと、バイデンは特定のウェブサイト名やファイル共有アプリケーション名をあげることはなかった。共同戦略プランにおいてもリストされてはいない。しかし、相当数のBitTorrentサイトが直接的に、または間接的にターゲットにされるであろうことは、容易に想像できる。

コメント

北米の音楽市場が半減するくらいの大打撃をうけた音楽業界の行動は遅すぎるんじゃないの?
もっと早くロビーやって法的にも違法配線を減らすようにしてればよかったのに
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