WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
以下の文章は、TorrentFreakの「MC Hammer: STOP… The Music Piracy Crackdown」という記事を翻訳したものである。
原典:TorrentFreak
原題:MC Hammer: STOP… The Music Piracy Crackdown
著者:Ernesto
日付:Novemer 17, 2009
ライセンス:CC
by-sa
ラップ現象を巻き起こし、自らをギークと自認するMCハマーが、音楽レーベルの行うアンチパイラシー戦略を批判している。ハマーは、ファイル共有ユーザ個人やISPに責任を求めるレーベルの判断は、正規のリスナーを 遠ざけるだけの失敗だったと語っている。
音楽パイラシーをどのように捉えるかについては、アーティストによって大きな隔たりがある。強力なアンチパイラシー法が自らの利益を高めてくれると信じるリリー・アレンのようなアーティストもいれば、RIAAやその他のロビイスト達がファンを疎遠にしていると考えるRadioheadやMobyのようなアーティストもいる。
後者のグループは、アンチパイラシー戦略を転換するよう大手レーベルを説得することはできていないが、MCハマーがSTOPといったからには、レーベルはその意見に耳を貸さねばなるまい。
MCハマーは最近のインタビューで、音楽産業の海賊行為との戦い、そしてデジタル時代における音楽の未来についてコメントした。ハマーは、RIAAのファイル共有ユーザに対する法廷闘争は、正規のリスナーを遠ざけるだけだったという。「海賊行為と戦うという音楽産業のアプローチは、間違った戦略でした。」と彼はいう。
個人に対する追求の他にも、エンターテイメント産業は加入者に海賊行為を許しているとして、ISPをもターゲットにしている。その中でも現在最も突出しているのがAFACT対iiNetの裁判であろう。この裁判において、アンチパイラシー団体AFACTは、オーストラリアのISP iiNetに対し、継続して著作権侵害を繰り返す加入者をインターネットから切断するよう求めている。
ハマーは殺人と拳銃のアナロジーを用いて仲間のラッパーたちに訴えかけ、ISPをターゲットにするAFACTが誤った相手に責任を負いかぶせようとしていると主張した。
「殺人があった、銃が使われた、だからといって、拳銃を販売した店主を逮捕しにいきますか?そんなことはあり得ないでしょう。逮捕されるのは殺人を犯した人物です。このケースでいえば、フリーウェイを利用してコンテンツを盗んだ何者か。フリーウェイを作った人ではありませんよね。」とハマーはいう。
ハマーはこうした法廷闘争を中止することを求める一方で、スタンドアロンのCDプレイヤーを所有してすらいない世代にプラスティックの円盤を売りつけようとするのではなく、音楽産業はもっともっとデジタルコンテンツに注力すべきであるとも考えている。
「デジタルファイルが未来の主流になる、それは疑いないでしょう。しかし、それは現在においても言えることです。」とハマーは言う。「今、CDというフォーマットは終焉期にあるのだと思っています。それが音楽産業にとっての人工呼吸器である、とも。」
「CDの包装を開封するなんて激しい運動を、どうやったら彼らにさせることができるのか、見当もつきませんね。実際、CDを開封しようとしたら、信じられないくらい大変でしょ?カッター使わなきゃいけないとか、開封するだけで一苦労。そしてなんとかCDを開封したら…、結局、PCに取り込むんですよ。」とハマーは付け加えた。
ハマーの指摘は実に的を射ている。デジタルセールスは収益において年々記録を破り続ける一方で、CDセールスは低下の一途をたどっている。これは音楽パイラシーの副作用というよりも、時代の趨勢であるのだろう。
じゃあ誰が責任を負うのか、という問題には答えられていないんだよなぁ。
個人的には、最終的な責任は、ファイルを違法にアップロードした個人にあると考えている。もちろん、ジェイミー・トーマス・ラセットに対する1億8千万円の賠償金のような一罰百戒を狙うのも問題ではあるが(アルバムを2枚共有しているユーザが10万人いるとしたら、賠償金は18兆円になる。)。
とはいえ、MCハマーが言わんとしているのは、問題の解決のためには個人やISPを追求していても始まらないよ、ということなのだろう。結局みんなPCに取り込むんだから、というのは、なるほどと思った。あと個人のCDプレイヤー所有率ってどうなってるんだろうというのは、常日頃思っていたことではある。
コメント
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ご指摘のように
× 結局、CDに取り込むんですよ。
○ 結局、PCに取り込むんですよ。
でした。早速修正させてもらいました。
ご指摘、本当に助かります。また、気になるところがあれば、是非コメントいただけるとありがたいです。
ありがとうございました。