フランス国民議会、スリーストライク法を否決

以下の文章は、TorrentFreakの「France Rejects 3 Strikes Anti-Piracy Law」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:France Rejects 3 Strikes Anti-Piracy Law
著者:Ernesto
日付:April 9, 2009
ライセンス:CC by-sa

先週、フランス議会は継続的な著作権侵害ユーザのインターネット接続を遮断するようインターネットサービスプロバイダに求める法案を承認した。議会が同法案を支持したことから、この法案の強固な批判者すら含む全ての人が、本日の元老院および国民議会は容易に通過するものと思っていた。しかし、そうはならなかった。

海賊行為を抑制するため、フランス議会は新たな『HADOPI(創造とインターネット)』 法を通過させた。同法案の下では、ISPは疑われた著作権侵害ユーザに警告文書を送付しなければならず、当該のユーザが3度目の警告を受け取った時点で、イ ンターネット接続を失うことになっていた。さらに、この法案はThe Pirate BayのようなサイトをブロックするようISPに命じることを可能にするものでもあった。

この法案はフランス市民の大半から批判されており、その多くは同法案が海賊行為を抑制することはできないだろうと考えていた。しかし、議会が同法案を支持したことで、元老院、国民議会も同様に承認するだろうことは疑う余地の無いことと思われていた。実際、同法案は予想されていたとおり、今朝、元老院を通過した。しかし、驚くべきことに国民議会は同法を通過させなかった。

2時間にわたる議論の後、同法は国民議会によって、反対21票、賛成15票で退けられた。当初の報道によれば、社会党が大多数のフランス市民の反対を受け、当初のスタンスを変えて同法案に反対することを決断したという。

「国内には反感の風が吹き荒れており、それが国民議会にも流れ込んできたのです。私たちは大多数の人々と対立するのではなく、協調することを選びました。」と社会党メンバーは答えている。さらに「政府は現在、問題を抱えています。」とも述べている。フランス文化相Christine Albanelは法案の否決にショックを受け、これは社会主義者の抵抗によって仕掛けられた「罠」であったと語った。

残念なことに、同法案は完全に廃案となったわけではない。同法案を支持していたUMP(国 民運動連合:与党)メンバーによると、4月27日に再び投票が行われるのだという。しかし、最初に国民議会を通過させられなかったということは、なんとも 素人臭い、明らかな大失敗である。市民の考えはすぐさま変わるというものではないだろう。

先月、欧州議会は、インターネット接続を「基本的自由(fundamental freedom)」であるとし、「3ストライク」法に反対を表明した

The vote and subsequent celebration.

**追記**

トラックバックしてくれた肉団子閑居為不善さんのエントリで指摘していただいたように(meat-ballさん、ありがとうございます)、この否決には裏事情があるようだ。

ITmediaに掲載されたWSJの翻訳記事でもこのように解説されている(太字は引用者)。

成立は当然と思っていたためか、午後に行われた最終票決に参加した議員はほとんどいなかった。投票結果は反対21、賛成15で、反対票のほとんどは以前から反対していた社会党議員のものだった。

 仏政府は、数週間以内に再票決を行うとしている。ニコラス・サルコジ大統領が所属する中道右派政党、国民運動連合(UMP)は議会の過半数を占めるため、大統領支持派が結集すれば同法案は可決されるはずだ。

(中略)

 仏政府は今回の票決の結果を、社会党による政治的な策略にすぎないとし、社会党は出席者の少なさと票決のタイミングを利用したと主張している。

社会党が不意打ちを食らわせた、というところなのか。

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