WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
現在、インターネット上を流通している海賊版映画のファイル名には、しばしばTSとかDVD_SCR、R5などという文字が付与されている。これらの用語は、その海賊版が用いている映像、音声のソースを区別するものであり、それぞれに流出経路(ソース)、品質が異なる。もちろん、品質に関してはばらつきが多いものの、流出経路を知れば、ある程度その品質は想像できたりもする。
とはいえ、積極的に海賊版を追いかけている人でもなければ、こうした用語の違いなどほとんどわからないだろうから、今回はこれらの用語についての解説をしてみたいと思う。こうした解説によって、どういった経路で映画がリークされるのかもわかるだろうし。
プレリリース/公開中
プロモーションように配布されたVHSなどが流出したもの。特徴としては、プロモーション用であることが説明された字幕やタイムコードが画面の上下に表示される。また、リークを防ぐためにシリアルコードが表示されていることもある。こうしたプロモーション用の素材は、単にメディアにのみ配られるのではなく、映画祭の審査用にも配布されている。画質/音質は後述するCAM、TSよりよい。最近ではこうしたソースはそれほどないため、あまりみられなくなってはいる。
DVD Screener (DVD SCR)
DVDソースのSCR。現在ではスクリーナーのほとんどがDVDにて提供されており、リークされるものもDVDスクリーナーがほとんどである。SCR同様にプロモーション用であることを説明する字幕が付与されていたり、最近では、リークを防ぐために電子透かしが施されていることもある。この電子透かしから流出元が特定されたこともある。品質はかなりよく、製品版とほとんど変わらない(特典映像などはないが)。CAM、TSよりあとにリリースされることが多いが、映画の公開前にリークされることもある。
簡単に言えば、撮影中、編集中のバージョン。主に海賊版の文脈では、完成直前の最終仕上げ前の段階でのリークが多い。特殊効果や音声が追加される前の状態であったり(たとえばCGをかぶせるべき箇所でスタッフが代わりに動いていたり、BGMが付与されていなかったり)、実際の公開ではカットされるシーンが含まれることもある(こうしたシーンはディレクターズカット版などで復活することもある)。それほど頻繁にリリースされるものではない。
公開中
映画館内にて家庭用ビデオカメラで隠し撮りされたもの。角度的に難があったり、人影が映り込んだり、観客の声まで録音されたりと、それほど質はよくない。ただ、カメラの質が向上していたり、海賊チームが組織的に(商用、非商用問わず)撮影にかかわっていたりして、以前ほど質が悪いものではなくなりつつあるようだ。ただ、DVDソースなどに比べると、それほどよくはない。
CAMと同様に映画館内で撮影されたものであるが、業務用カメラで撮影されていたり(しばしば映写室から三脚を用いて撮影される)、音声ソースは生録りではなかったりするので、CAMよりも質のよいものであることが多い。音声は難聴者用の出力や、ドライブインシアターのFM音楽から入手される。ただやはり、スクリーンを直接撮影しているものであるため、画質に限界はある。
スタジオが簡易DVD化のためにアナログソースからプロ仕様のテレシネ機を用いてデジタル化したもの。正規DVDとの差はほとんどわからないものも多いが、実際にはこちらの方が品質は悪い。ただ、CAM、TS、TCよりはよい。R5の名前はリージョン5に由来しており、これは旧ソビエト連邦、インド、アフリカなどのリージョンコード。同地域では、海賊版問題が深刻であり、スクリーナーなどがリリースされると同時にDVDリリースを行なうことがある(高品質の海賊版にお金を落とさせないため)。そのため、北米等他の地域に比べDVDのリリースが早く、それが流通したものといえる。後述するDVDripと異なるのは、こちらはより迅速に、低コストでデジタル化されたものであるため、通常の正規DVDリリース(デジタル化)で施されるイメージ処理や特典などはない。
映写機によって投影された映像を録画するのではなく、フィルムから直接ビデオ信号に変換されたもの。映画のフィルムそのものとテレシネ用の機材を必要とすることから、それほど一般的ではない(少なくとも海賊版の文脈でいえば、一般人はほぼ入手できない)。最近ではR5が増加したためにお目にかかることもなくなりつつある。技術的な解説はWikipediaにて。
DVDリリース
市販されているDVDからリッピングしたもの。海賊版の文脈では、正規DVDがリリースされる前に、そのマスターがリークされた場合もDVDripとされる。
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