ベルギーISP:違法P2Pトラフィックをブロック/フィルタリングするのは現実的に不可能!

以下の文章は、TorrentFreakの「ISP: It’s Impossible For Us to Stop Illegal P2P」という記事を翻訳したものである。

原典:TorrentFreak
原題:ISP: It’s Impossible For Us to Stop Illegal P2P
著者:enigmax
日付:September , 2008
ライセンス:CC by-sa

法廷から、同社ネットワーク上での違法ファイル共有を止めるよう命じられたISPが、そんなことはどうやってもできっこないと主張している。ベルギーのISP Scarletは、法廷の評決が実行不可能であるという。そして、トラフィックを減速やフィルタリングを試してはみたものの、Audible Magicのフィルタリングがうまく機能しないがために、違法なファイルの流れを止めることはできないと主張する。

2007年の中頃、著作権団体SABAMとの戦いの後、ベルギー法廷はインターネットサービスプロバイダScarletに対して、P2Pネットワーク上の著作権侵害ファイルをブロックまたはフィルタリングするよう命じた。技術的なハードルをよく知る大半の人々が、たとえ不可能ではないにしても、相当な困難を伴宇ことを認めているにもかかわらず、法廷はISP Scarletが著作権侵害コンテンツをブロックすることができるはずだとして、それに応じるために6ヶ月の猶予を与えた。

Scarletは、命令が下された当初から、裁判所の命令に従うのであれば、法を犯すことになってしまうと主張していた。ベルギーの法律はISPが顧客をスパイすることを禁じており、この判決に対して同社は上訴を申し立てる、と常務Gert Postはいう。「この措置は、我々にインターネット上でのビッグブラザーを演じろといってるに他なりません。もし、我々がこれに異を唱えなければ、私たちのドアは永遠に開かれたままになり、個人の情報は、見えない誰かに、違法にチェックされ続けることになるのです。」

それから1年がたった現在、Scarletの弁護士は、法廷にて、同社が単純に違法なファイルの流通を止めることができないと主張した。同社は命令の履行が1日遅れるごとに、2,500ユーロの賠償を支払わなければならないため、これは深刻な事態である。報道によると、Scarletは、判決に応じようと複数の技術を試してみたものの、いずれもうまくはいかなかったようだ。

まず最初に、Scarletは、Ciscoの技術を用いて、P2Pトラフィックを減速させた。それがもたらしたのは、加入者からのクレームだけであり、結局のところ違法なファイルの入手可能性を止めることにはならなかった。Scarletの弁護士Christoph Preterは「我々は実際に、P2Pトラフィックが遅くなったとクレームを受けました。しかし、それでも(訳注:違法ファイル共有が)できなくなったわけではありませんでした。単に抑制するだけに終わりました。」

同ISPはすべてのP2Pトラフィックを遮断することは、完全に否定した。それは合法的なトラフィックも同様にブロックしてしまうためであった。しかし、著作権団体SABAMは、これを明確な根拠にはならないと主張する。SABAMの弁護士は「Scarletによって提案された議論は、ブロックが不可能だということではありません。単に結果についてだけです。」という。SABAMは、彼らの思い通りなるのであれば、誰かが巻き込まれてもかまわないと考えているようだ。そして、彼らは、Scarletが単に法廷の命令に応じる努力を欠いているだけだと主張する。

第2のソリューションである違法ファイルのフィルタリングは、SABAM自身が昨年提案したものであった。指名されたP2Pの『専門家』のアドバイスを受け、法廷はScarletにAudible Magicの提供するコンテンツフィルタリング技術を導入しなければならないと命じた。しかし、Scarletがこのシステムを試し、彼らのネットワークを流れるデータを通したところ、それはうまく働きはしなかった。昨年の訴訟の際、Audible Magicは米国Verizonや、アジアの別のISPでもフィルタリングのために用いられていると主張された。しかし、ScarletがそのパートナーシップについてVerizonに確認を求めたところ、そうした取引はないと説明され、さらにAudible MagicはアジアのどのISPと契約しているのかは明らかにしていない。

「私たちは法廷を誤解させました。」とSABAMの弁護士はいう。「しかし、SABAMはAudible Magicを選択せよという専門家に従った訳ですし、私たちは誠意を持って行動したつもりです。」

この判決は、2010年までは持たないだろうね。

「いやぁ、ごめんごめん、無理だったね」じゃ済まない問題だと思うけど。主張が誤っていたことを暗に認めていながら、何を持ってScarletの著作権侵害トラフィックフィルタリング、ブロックが可能だと主張しているのだろうか。

ISP:「違法P2Pトラフィックをブロック/フィルタリングするのは現実的に不可能!」

SABAM「判決でてんだから、つべこべ言わずやれよ。」

という風に思えるのだが。

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