Azureus、ISPによる過度のBitTorrentトラフィック制限を明らかに

BitTorrentクライアントAzureusは、ISPによるBitTorrentトラフィックの抑制の実態を調査するために、Good ISPとBad ISPを判別し、そのデータをAzureusに送信するプラグインをユーザに提供していた。その最初の結果が、TorrentFreakによって紹介されているよ、というお話。当然、Comcast以外にもTCPリセットによってユーザのBitTorrentコネクションを遮断するというISPが数多く存在することが示されているのだけれども、もっと興味深かったのは、最もその頻度が高かったのがComcastだということだろうか。まぁ、そりゃ信用されないよなぁ。

原典:TorrentFreak
原題:BitTorrent Throttling ISPs Exposed by Azureus
著者:Ernesto
日付:April 21, 2008

BitTorrentクライアントのAzureusによって収集されているデータは、BitTorrentトラフィックを絞っているISPの中で、Comcastの存在が氷山の一角であることを示している。この初の調査結果によると、数多くのISPがそのユーザに対して高い頻度でTCPリセットを行っていることが示された。

ISPは非常に長い期間、BitTorrentトラフィックを絞ってきた。しかし、それはComcastの一件が主流メディアに報じられるまでのこと。

数か月、AzureusはFCCに請願書を提出し、それは今年2月にはFCC公聴会が開かれるまで至った。委員会での問題の1つに、BitTorrentへの帯域制御に関して、ほとんどデータが存在しないということがあった。Azureusはその点を解決するため、世界中のISPが盛んに行っているTCPリセットに関するデータの収集を行った。

先月、AzureusはユーザにGood ISPとBad ISPとを区別することのできるプラグインの提供を開始した。本日、われわれはその初期段階の調査結果のプレビューをここに紹介しよう。8,000人以上のユーザの1,000,000時間分のデータかここ数週間で収集された。予備的結果として、Comcastが依然として彼らのネットワーク上で、BitTorrentトラフィックを管理するためにTCPリセットを使用し続けていることが確認された。しかし、そういったISPはComcast一社だけではない。

他にも、Vuze/Azureusのレポート(PDF)には、数百にもおよぶISPのリセットレートの中央値が記載されている。

ISP Country Reset %
Comcast USA 23.72%
Cogeco Canada 19.13%
Emirates Internet UAE 17.86%
Cablevision USA 17.58%
Brasil Telecom Santa Catarina, Brazil 17.43%
TM Net Malaysia 16.80%
BellSouth USA 15.88%
Tedata Egypt 15.33%
Tiscali UK 14.89%
AOL USA 14.88%

TCPリセットは米国ISPにとって一般的なものであり、その中でもComcastが群を抜いている。Azureusチームは、Cablevision、Cogeco、BellSouth、AOLといったISPに対して、同社が行っているBitTorrentトラフィック絞りの実行について公開するよう求める文書を送付した。今のところ、これらのISPから返答はない。

さて、このリストの下のほう、つまりGood ISPはというと、大半が欧州からのものである。また、こうしたTCPリセットを用いたBitTorrentトラフィック絞り以外の方法を用いて、BitTorrentトラフィックを制限しているISPのリストが、Azureus Wikiに公開されている。

ISP Country Reset %
Telecom Italia France France 2.53%
Orange Nederland The Netherlands 2.57%
WiLine USA 2.78%
Telefonica Germany 3.60%
Freenet Germany 4.21%

ただ、Vuzeの技術によって収集されたデータが、必ずしも最良のものではない、ということには注意しなければならない。このプラグインは接続時のすべてのTCPリセットを検出するが、それはBitTorrentとその他の接続を区別するものではなく、統制群が存在していない(訳注:BitTorrentユーザと非BitTorrentユーザとを比較して、有意にBitTorrentユーザがTCPリセットの頻度が多かったことを示す必要がある)。

Azureus/Vuzeチームは、引き続きデータを収集するという。曰く

「私たちは、インターネットトラフィックを『絞る』ネットワーク管理実行が広範囲にわたって行われていることを示す十分なデータを手にしたと考えています。ただ、こうしたリセットが通常業務において起こりうるものであるのかどうか、それとも、特定のアプリケーション/プロトコルをターゲットにし、今週マーエクスペリエンスを害し、イノベーションを抑え込もうとするためにある種の帯域抑制実行を行われているのかどうか、を判断するためには、更なる調査が必要とされています。」

今回提示された予備的結果は、BitTorrentトラフィックを減速させるためにTCPリセットを用いているISPが、Comcastだけではないことを実際に示している。近い将来、より強力なデータを示すことができるよう、プラグインを使用し続けることをお勧めしよう。

盛り上がってまいりました!というところでしょうか。もちろん、このままで提出されても、これはP2Pだけに対するものではない、という反論が待っているだろうから、そうした反論をふさぐための更なる調査が必要になるというところでしょうか。

それでもAzureusとしては、米国ISPにおいてTCPリセットレートが高かったという結果が示されたことは、非常に有利に働く(本来であれば、望ましいことではないのだろうけれど)のかもしれない。

さてさて、このプラグイン調査によって第1位に選出されたComcastは、依然としてFCC(連邦通信委員会)の追及を受けている。次はそんなお話でも。

おっ、これで1000本目のエントリだ。我ながら、よく書くなぁと思ったりする。

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